方法、手法

教科書にはない機構設計ノウハウ 公差編

教科書にはない機構設計ノウハウ 公差編

教科書にはない機構設計ノウハウ コスト編

2乗平均による公差解析

コスト編では、コストを下げるために、公差をある程度は緩める必要がありました。

でも、そんなに公差を緩めた部品が複数加わり組み立てると、どんでもなく大きなバラツキが発生するのでは?と不安になります。

そこで、重要な考え方となるのが公差解析。

公差解析とは、寸法バラツキのある複数の製品を組み立てる場合、寸法公差(幾何公差)を設定して、それらを組み立てた時の寸法や形状のバラツキを見積もることをいいます。

例えば、公差が0.5mmの部品を2個(AとB)重ねた場合、その高さのバラツキはいくらになるのか?

2個とも最大のモノが来た場合、1mmとなり、2個とも最小のモノが来た場合、-1mmとなります。

ならば、2個重ねた部品の公差は、±1mmとするべきなのか?

これは、理論上あり得る話ですが、実際はこんな組み合わせがくることは、ほぼ無いと考えて問題ありません。

その高さのバラツキが±0.8mmまでしか許されない場合は、それぞれの部品公差を0.4mmに変更する必要があるのでしょうか?

これも、同じ考え方でいくと、こんなこをする必要はありません。

このように、組み立て後の公差から、部品公差を決めてしまうと、とんでもないコストの部品を作ることになってしまいます。

 

正規分布する

例えば、100±0.5で制作しようとした場合、狙いは100.0ぴったりのはずです。

誰も、好き好んで100.5を狙いに行く人は、いないと思いますから。

すると、モノづくりの結果、100を基準にバラツキます。

つまり、出来上がる製品は、100が一番多く、99.5や100.5などは、限りなく少なくなるのです。

 

 

ですから、最悪条件の部品同士が組み合わされる確率は極めて低いと考えて問題ありません。

このような考え方をもとに考え出された公差の算出方法が、『2乗平均による公差』

 

2乗平均による公差

イラストの水色部分は、割り切って、多少の外れをあきらめます。

組み合わせる部品の公差を、2乗したものを足し算し、それの平方根(ルート)が2乗平均による公差となります。

さきほどの例を2乗平均による公差に当てはめて公差を算出します。

組み合わせた合計公差 = √0.5 2乗 + 0.5 2乗 = 0.707・・・mm

この公差解析による、2乗平均による公差算出では、ほとんどの場合、2個の高さのバラツキは、±0.71mmに納まると判断して設計すればよいことになります。

±0.8mmまで許容できるのであれば、各部品の交差は、変更する必要がないってことです。

もっと言えば、0.55mmまで公差を緩めることも可能となります。

公差を緩くすればするほど、モノづくりの単価はさがります。

 

応用問題

Qを1±0.5にするためには、公差Tはいくらにすることで可能なのか?

 

まず、理論上あり得る公差から考えると・・・

Cの交差が9±0.4ですので、それに加えて、D・E・F・Gの交差を足して、0.5にすると考えてしまうと・・・

0.4 + 4T =0.5

4T = 0.5 - 0.4

4T = 0.1

T = 0.025

よって、D・E・F・Gの公差は2±0.025

理論上、ありえる公差を積み上げると、部品公差は±0.025となりましたが、実際問題ありえない公差設定です。

こんな公差で、図面を出すと現場からバカ扱いされます。

ですので、先ほどの2乗平均による公差を利用します。

0.4 2乗 + 4T 2乗 = 0.5 2乗 となります。

4T 2乗 = 0.5 2乗 - 0.4 2乗

T 2乗 = 0.5 2乗 - 0.4 2乗 / 4

T = √(0.5 2乗 - 0.4 2乗 / 4)

= 0.15

よって、公差Tは、0.15にすれば、良いってことになります。

 

 

まとめ

モノづくりにおいて、不良は避けて通れません。

だからといって、それらを考慮するとモノづくりとして破綻してしまうのも事実。

ですから、多少の外れは、あきらめるってことがポイント。

あと、実際の機構設計においては、傾きなどの3次元を考慮する必要がありますが、これらは手動ではたいへん難しい解析になりますので、3次元モデルを利用した解析ソフトの活用が必要になります。

ですが、ここでの「2乗平均による公差」は幅広く活用できますので、これだけ知っておけば実務において大変有利になります。

次回は、教科書にはない板金設計のノウハウをテーマに記事にしていきます。

教科書にはない機構設計ノウハウ 板金設計編

 

 

 

 

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