前回の記事:白髪染めで気が付いたこと
ヘナとは
指甲花(しこうか)と呼ばれるミソハギ科の低木の葉っぱで、その葉っぱを粉末にして乾燥させたもの。
インドのラジャスターンやグジャラートがメインの原産地となっており、ここまでは多くのヘナは一緒のはず…
※中には怪しいヘナも存在する…
これって、完全に農業ですよね?
農業ということは、生産者によって品質が凄く変わるって事なんです。
すべて機械任せで、葉っぱの質の状態も見ずに枝ごと刈り取りするような乱暴な生産をする人もいるでしょうし、丁寧に手で摘み取り、良い葉っぱを見極めながら丁寧に作業する人もいます。
粉末にした後、天日干しするのか機械で乾燥させるか、温度や湿度など梱包して輸出するまでの保存方法も様々なはずです。
同じ種で野菜を育てても、素人とプロでは品質に大きな差が出るのと同じで、手間暇かければ、それだけで品質が変わってきます。
ヘナの価格に幅があるのには、ちゃんとした理由があります。
天然がゆえに
天然というのは、人がコントロールできることが少なく、どんな風に染まるのかは使う人の体質や色んな条件で変わりますので予測ができません。
つまり、人によっては上手く染まる人もいるし、上手く染まらない人もいます。
どうなるのかは、やってみないとわからないのです。
でも、上手く染まらなかったとしてもヘナ師と呼ばれるヘナを熟知している人の工夫によって大きく改善させることができます。
可能なら、ヘナ師のサポートが受けられるヘナをお勧めします。
上手く染まらないとは
「白浮き」といって、白髪がキラキラと浮いたように見えてしまうケース。
茶色見かかったり、オレンジ見かかったり、青見かかったりする人がいます。
ケミカルヘナ(化学ヘナ)
ヘナを使おうと思ってから調べていたら、早染め(15分)が出来ると言うヘナの商品を見かけました。
ヘナは、化学染めと違って天然がゆえに塗布してから30分から3時間放置する必要があります。
これが多くの美容室で採用されない最大の要因だと言われています。
天然なものほど、人がコントロールすることができないもの。
仮にコントロールが出来ると言うのなら、何らかの化学操作がされていると考えた方が自然です。
過去には厚生労働省からも回収命令の出たヘナも存在しています。
信頼できる美容室でやってもらえば安全って思うかもしれませんが、美容室に売りに来る営業マンの言葉に騙されている美容室も少なくありません。
回収理由:当該商品の自主的な検査(外部の検査施設に依頼)において、成分表示に記載した成分以外に医薬部外品(染毛剤)の有効成分である「ピクラミン酸」が混入していることが判明した
回収理由:本製品における表示内容について、配合成分と異なる表示をしていた
ヘアカラーとヘナのしくみの違い
ヘアカラーのしくみ
ヘアカラーとは、前回の記事でも書いたので簡単に書きますが、ブリーチ剤と色素剤が1つのパッケージになった化学薬剤です。
正常なら閉じているはずの髪のキューティクルを化学薬品(アルカリ成分)の力で無理やりキューティクルを開かせて、髪の内部に薬剤を浸透させるものです。
髪の内部に浸透させるときに、まずブリーチ剤が髪の毛のメラニン色素を破壊します。
当然、メラニン色素が破壊されると色がなくなるので髪が明るい色になります。
その明るくなった髪に色素剤が入っていきます。
なので、ヘアカラーの場合、どんな色にでも染めることが出来てしまいます。
ヘナのしくみ
ヘナには、ヘアカラーのようにブリーチ力もなく、アルカリ成分もありません。
そして、ヘナは頭皮や髪の毛と同じ弱酸性の物質なんです。
ヘナの粒子はめちゃくちゃ細かいのでキューティクルが開いていなくてもキューティクルの隙間から髪の内部に入ります。
その後、重合(じゅうごう)と言って、細かな粒子が髪の内部で重なり合います。
その重なりが大きくなることによって、髪の外に出てからタンパク質に絡み合って髪の毛の中に残留します。
ですので、白い髪には色が付きますが、ヘアカラーのように黒い髪には色はつきません。
※実際には色が付いているけど、わかりにくいって感じ。
純粋なヘナにはオレンジ色しかありませんので、白い髪に色がつくとオレンジ色になります。
※オレンジ色も重ねると赤色に近づきます。
さいごに
この記事はシリーズになっています。
なんとなくヘナがヘアカラーよりも安全であることは理解していただけましたでしょうか。
ヘナは化学剤のように再現性が高く、結果を保証するものではないのですが、上手に使い方をマスターすれば、ある程度望む髪色に近づけることはできます。
ただ、ヘナは天然ですので明日に間に合わせたいとかの要望には期待できません。
半年や1年の長い時間をかけて、ゆっくりと髪を望むようにしていくのを得意としています。
そして、どんなものでも同じですが、天然であることを理由に、全てのヘナが良いとは思わない方がいいです。
ヘナのことがもっと知りたいと思う人は次の記事も参考になります。
次の記事:髪は死んだ細胞の集まり