ICAD/SXの基本的な使い方の紹介
CADというのは、意外に最低限のオペレーション機能だけで実は業務をまかなえてしまいます。
やっぱり、基本操作を知っていれば断然業務効率があがることは間違いありません。
是非とも基本的な使い方をここで習得していただければと思います。
今回紹介する記事に使用している2次元CADのバージョン
FUJITSU Manufacturing Industry Solution iCAD SX
V7L5-04A
ICAD/SX Mechanical PRO (2次元CAD)
PCのOSはWindowsを想定しています。
ちょっと、古いバージョンですが、これから紹介する設定が無くなることは、大きなスペックダウンになりますので無いと考えています。
マウスの操作
マウスでメニューの選択、座標の入力、図形の指示などを操作します。
左ボタン
・メニューの選択
ICAD/SXの各メニューを選択します。
・図形の選択
図形要素を選択します。
ドラックでも選択できます。
デフォルトでは、選択範囲に少しでも触れていれば選択となります。
Auto CADと違って、左右のどちらからドラックしても選択範囲は同じです。
後に記述している、「クロス」の設定で少し応用ができます。
・座標の入力
図形要素の作成や編集をする際に必要な座標を入力します。
中ボタン(スクロールボタン)
・表示領域の移動(パニング)
中ボタンを押したまま、マウスを移動させると表示領域が移動します。
・表示領域の拡大縮小(ズーム)
ボタンのスクロールで表示領域の中心を基準にして拡大縮小します。
右ボタン
・「GO」入力
右ボタンを押すことにより、いろいろな操作をするときの確認キーとなります。
また、もう一度右ボタンを押すことにより、その処理を取り消すことができます。
・ポップアップメニュー表示
マウスの右ボタンを押したまま動かす(ドラックする)と、「表示属性設定」などが登録してあるポップアップメニューが表示されます。
ICAD/SXでは、右ボタンの操作が重要なキーとなり、他のCADと大きく操作方法が変わるポイントとなっています。
ICAD/SXに慣れるには右ボタンを意識する必要があります。
キーボードの操作
「Shift」キー
マウスで座標入力時、「Shiftキー」を押しながらマウスを動かす(ドラックする)ことで、入力した座標を基準にして、水平、垂直方向に次の座標を簡単に入力することができます。
「Esc」キー
コマンド操作中に「Esc」キーが押された場合、コマンド操作のキャンセルが行えます。
操作がキャンセルされた場合、動作中のコマンドの先頭から操作が開始されます。
「Ctrl」キー + 「Tab」キー
「Ctrl」キーと「Tab」キーを同時に押した場合、作業画面が切り変わります。
複数のウィンドウで作業しているときに、有効になります。
画面の説明
メニューバー
画面の一番上部にあるバー。
左から「ファイル」「表示」「情報表示」「設定」「ツール」「ウィンドウ」「ヘルプ」と並んでいます。
メニューバーには主にシステムの設定をしたり、情報を表示したりするコマンドがあります。
カーソルを近づけるとコマンドが表示されますので、実行したいコマンドでマウスの左ボタンをクリックします。
ツールバー
メニューバーのすぐ下にあるバー。
このバーはバージョンの違いや、3Dのライセンスの有無などで変化します。
ツールバーはメニューを追加したり削除したりと、自由にカスタムすることができます。
カスタム方法
ツールバーの上にカーソルを持っていき、マウスの右ボタンを押すと、リストが表示されます。
チェックマークにチェックを入れればメニューも増えます。
また、ドラック&ドロップで自由に位置も変更することができます。
メニューバーの「表示」→「ツールバー」でもリストが表示されます。
入力制御メニュー
ツールバーのさらに下にあるバー。
左側は「要素選択方法表示領域」で、右側は「座標入力表示領域」となっています。
入力制御メニューでは、要素の選択方法や座標入力の方法を設定することができます。
各々のコマンドごとに、指定できる方法だけが表示されます。
マウスの左ボタンでクリックすると、アイコンが凹んだ状態になり、選択した要素選択や座標入力ができます。
レバーをつかんでドラック&ドロップすることで、位置を変更することができます。
入力制御メニューはメニューを追加したり削除したりと、自由にカスタムすることができます。
カスタム方法
メニューバーの「表示」→「ツールバー」→「入力制御」で、リストが表示されます。
チェックマークの増減でメニューも増減します。
システム情報メニュー(2次元設計モジュール)
入力制御メニューのさらに下にあるバーです。
左から「線種」「線色」「レイヤ」「グリッド」「尺度」「中ボタン」「ナビ」「クロス」と並んでいます。
システム情報メニューでは、システムの属性を設定することができます。
ドラック&ドロップすることで、表示位置を変更することができます。
メニューバーの「表示」-「ツールバー」からシステム情報メニューの表示/非表示を切り替えることができます。
▼をマウスの左ボタンでクリックすると、リストボックスが表示されるので、設定したい項目をクリックして設定を変更することができます。
線種
これから作図する要素の線種を指定します。
線色
これから作図する要素の色を指定します。
レイヤ
マウスの左ボタンで選択するとアクティブになりキーボードから直接数値を入力することができます。
グリッド
グリッドの表示間隔を指定します。
尺度
図面の尺度を指定します。
ナビ
チェックがない状態では、要素の自動認識・座標の入力・移動コピー時のカーソルに図形表示のナビゲーションシステムは使用できません。
クロス
チェックがある状態では、要素を短形や多角形など要素認識の領域線にクロスしている要素も認識します。
チェックが無い状態では、領域内にある要素のみ認識します。
トップメニュー
左サイドバーの一番上に12個ほどアイコンが並んでいるところ。
トップメニューには、コマンド機能ごとに分類した「作図」「製図」「ファイル」「子図」「ツール」「トップダウン」「オプション」などが表示されます。
(起動時の選択設定内容によって異なります。)
マウスの左ボタンでクリックすると、コマンドメニューに、各コマンドが表示されます。
コマンドメニューはトップメニューのすぐ下の部分です。
ドラック&ドロップすることで、表示位置を変更することも出来ます。
コマンドメニュー
トップメニューのすぐ下に表示されています。
コマンドメニューには、ICAD/SXの操作の基本単位であるコマンドが表示されています。
マウスの左ボタンでクリックすると、そのコマンドの実行モードとなり、詳細メニューが表示されます。
詳細メニューはコマンドメニューのすぐ下の部分です。
詳細メニュー
コマンドメニューのすぐ下に表示されています。
詳細メニューには、選択されたコマンドの詳細機能やモードが表示されます。
マウスの左ボタンでクリックすると、選択されているコマンドボタン背景が青色になります。
ポップアップメニュー
図形表示ウィンドウ(作図する黒い画面中)に現れます。
マウスカーソルを図形表示ウィンドウ内におき、右ボタンを押したまま、マウスを動かすと表示されます。
そのまま実行したいコマンドにマウスカーソルを移動し、ボタンを離すとそのコマンドが実行されます。
ポップアップメニューには、図形表示ウィンドウに対し、表示操作するコマンドがあります。
キー入力領域
画面下部の真中に入力が可能な大きなボックスがキー入力領域となります。
キー入力領域は、キーボードから座標値などを入力します。
項目入力領域
キー入力領域の左側に位置します。
左から、「公差値」「個数」「任意記号」と表示されます。
項目入力領域には、選択されたコマンドで、数値や文字入力が必要な時に表示されます。
参考
項目入力領域は計算式でも入力することができます。
+ 加算
– 減算
* 乗算
/ 除算
** べき乗
SIN 正弦
COS 余弦
TAN 正接
ATAN 逆正接
SQRT 平方根
OMIT 小数点以下切捨て
RISE 小数点以下切上げ
ROUND 小数点以下四捨五入
入力欄でマウスの右ボタンを押して表示されるポップアップメニューから、「長さ」「距離」「角度」を選択することにより、図面上の図形要素から長さ、距離、角度を取得して、その値を入力することができます。
図形ウィンドウ
タイトルバーには、編集中の図面名、アクティブビューの名称が表示されます。
最小化ボタン、最大化ボタン、閉じる(終了)ボタンが表示されます。
全体図ウィンドウ
左下の全体が小さく捧持されているウィンドウです。
全体図ウィンドウには、図形表示ウィンドウに表示されている図面の全体が表示され、全体図ウィンドウに表示されている領域が、白色の枠で表示されます。
入力促進領域
項目入力域の下です。
入力促進領域には、コマンドごとに、次の操作に対するガイドメッセージが表示されます。
メッセージ表示領域
入力促進領域の右側です。
メッセージ表示領域には、操作に対するメッセージが表示されます。
座標の入力
入力制御メニューにあります。(要素の選択の右側)
マウスで入力
座標入力が出来る状態では、入力制御メニューの座標入力表示領域のアイコンが表示されます。
ほとんどのコマンドでは、「自動」が初期状態でONになっています。
”AP”が凹んでいれば「自動」が選択されています。
自動
カーソルを”AP”に合わせれば「自動」と吹き出しがでます。
自動モードでは、マウスカーソルの位置により次の入力方法をシステムが自動判断して、座標値が決定されます。
デフォルトでは、常に「自動」が選択されており、特定点の選択モードをしようしても、すぐに「自動」に戻る設定になっています。
私は、この常に「自動」に戻る設定はとても便利だと思っています。
特定点
図形要素が込み入って、「自動」が使いづらい場合などは、以下の入力を指定すると、確実に指定したい座標が入力できます。
任意
”AP”の5個左にある、点だけのアイコンです。
カーソルを合わせれば「任意」と吹き出しがでます。
これは、要素に関係なく、クリックした点が座標値となります。
線上
”AP”の4個左にある、横線の上に点があるアイコンです。
カーソルを合わせれば「線上」と吹き出しがでます。
これは、要素の近傍点をクリックすると、その点から要素の線上で一番近い点が入力座標となります。
端点
”AP”の3個左にある、横線の両端に点があるアイコンです。
カーソルを合わせれば「端点」と吹き出しがでます。
これは、クリックした要素の端点が入力座標となります。
中心
”AP”の2個左にある、横線の中央に点があるアイコンです。
カーソルを合わせれば「中心」と吹き出しがでます。
これは、クリックした要素の中心点が入力座標となります。
交点
”AP”のすぐ左にある、+字の交点に点があるアイコンです。
カーソルを合わせれば「交点」と吹き出しがでます。
これは、2つの要素をクリックすると、その交点が入力座標となります。
近交点
”AP”のすぐ右にある、アイコンです。
カーソルを合わせれば「近交点」と吹き出しがでます。
これは、クリックした要素と他の要素との交点が入力座標となります。
参照点
”AP”の2個右にある、右矢印の先に点があるアイコンです。
カーソルを合わせれば「参照点」と吹き出しがでます。
これは、マウスでクリックした点から相対値分移動(XY座標の増分値と方向を←↓→↑で指示し「Enter」)した
点を入力座標とする。
ちょっと難しいですので参考例
20→↑「Enter」 = 参照点よりX20Y20の位置 となります。
マウスカーソルの水平/垂直固定
「Shift」キーを押しながらマウスを動かすことで、入力した座標を基準にして、水平・垂直方向に次の座標を簡
単に入力することができます。
水平・垂直方向は、マウスカーソルの位置により、自動で判断してラバーバンドが表示され、次に入力される座
標を示します。
方向を変える場合は、「Shift」キーを押したまま、「Ctrl」キーを押して離します。
変更された方向で固定され、再び「Shift」キーを押したまま、「Ctrl」キーを押すと固定が解除されます。
要素の選択
入力制御メニューにあります。(座標入力の左側)
要素が選択できる状態のときは、入力制御メニューの要素選択方法表示領域のアイコンが表示されます。
要素を選択
ほとんどのコマンドでは、「単一」(左から2番目のアイコンでカーソルを合わせれば「単一」と吹き出しがでます。)が初期状態でONのため、要素を1つずつ選択するか、マウスをドラッグした短形で選択することができま
す。
単一
単一モードでは、マウスカーソルが要素の上にあるとき、要素が赤色でプレハイライト表示されます。その状態でクリックすると赤色表示のままとんなり要素が選択されます。
マウスカーソルが要素の上にないときは、マウスの左ボタンを押したまま、左ボタンを離すと、表示されたラバーバンド内にある要素が選択され、赤色で表示されます。
短形内
「単一」のすぐ右にある、上下の矢印が中央に向いているあるアイコンです。
カーソルを合わせれば「短形内」と吹き出しがでます。
マウスでクリックした2点でできる短形の内側の要素が選択されます。
短形外
「単一」の2個右にある、上下の矢印が外側に向いているあるアイコンです。
カーソルを合わせれば「短形外」と吹き出しがでます。
マウスでクリックした2点でできる短形の外側の要素が選択されます。
多角形
「単一」の3個右にある、5角形のアイコンです。
カーソルを合わせれば「多角形」と吹き出しがでます。
マウスでクリックした3点から最大100点で構成される多角形の内側の要素が選択されます。
連結
「単一」の4個右にある、円と円が鎖で繋がったアイコンです。
カーソルを合わせれば「連結」と吹き出しがでます。
マウスでクリックした要素の端点に接続されている要素が選択されます。
再選択
「単一」の7個右にある、単一のアイコンと似ているあるアイコンです。
カーソルを合わせれば「再選択」と吹き出しがでます。
直前に複数選択した要素が再び選択されます。(一時グループ同様)
一時グループの活用では選択が完了してしまうので、一時グループから除外したい要素がある場合や追加したい要素がある場合に使用すると便利な機能です。
除外
「単一」の8個右にある、点が2個あり、一つの点が四角に囲まれているアイコンです。
カーソルを合わせれば「除外」と吹き出しがでます。
「再選択」で認識した要素の複数を短形選択で除外する時に使用する。
参考
短形選択は、システム情報メニューのクロスがONの場合、短形に掛かるすべてが選択されます。
クロスがOFFの場合、短形内に完全に含まれる要素だけが選択されます。
実像部品を選択
「単一」「短形内」「短形外」「多角形」では、実働部品として選択するのか、その構成要素として選択するのか、いずれかのモードを指定できます。
「単一」のすぐ左にある、六角形(デフォルト)のアイコンです。
このアイコンはモードによってアイコンが変わります。
要素選択ができるモード:六角形
部品単位で選択するモード:ボルト形
ボルト形
実像部品の構成要素のどれかを選択すると実像部品全体が選択されます。
要素
実像部品の構成要素を選択しても実像部品全体は選択されず、その要素だけが選択されます。
検索タイプを設定
検索タイプを設定することで、要素、線色、線幅、線種について、選択対象にするか、あるいは、線ⓣなく対象にしないかを設定することができます。
検索要素タイプの設定
要素のタイプごとに選択対象にするか、選択対象にしないかを設定します。
要素を選択する際に、選択対象となった要素タイプだけが選択されます。
操作方法
メニューバーの「表示」 - 「検索要素」を選択
選択対象にしない要素をマウスの左ボタンでクリック。
青色の帯が白色に変わり、この状態で選択対象から除かれます。
検索線種属性の設定
要素の線種ごとに選択対象にするか、しないかを設定します。
選択する際に、選択対象となった線種の要素だけが選択されます。
操作方法
メニューバーの「表示」 - 「検索線種」を選択
選択対象にしない線種をマウスの左ボタンでクリック。
青色の帯が白色に変わり、この状態で選択対象から除かれます。
検索線幅属性の設定
要素の線幅ごとに選択対象にするか、しないかを設定します。
選択する際に、選択対象となった線幅の要素だけが選択されます。
操作方法
メニューバーの「表示」 - 「検索線幅」を選択
選択対象にしない線幅をマウスの左ボタンでクリック。
青色の帯が白色に変わり、この状態で選択対象から除かれます。
検索線色属性の設定
要素の線色ごとに選択対象にするか、しないかを設定します。
選択する際に、選択対象となった線色の要素だけが選択されます。
操作方法
メニューバーの「表示」 - 「検索線色」を選択
選択対象にしない線種をマウスの左ボタンでクリック。
青色の帯が白色に変わり、この状態で選択対象から除かれます。