方法、手法

オームの法則とジュールの法則

オームの法則とジュールの法則

ヒーターに電流が流れると発熱します。これは、ヒーターが電気を通しにくくする働きを持ち合わせているから。この働きを「抵抗」といい、「オーム(Ω)」で表します。

オームの法則

この抵抗の大きさと、電流と電圧の関係を表したものが「オームの法則」。
抵抗に電流が流れると熱が発生します。

この時の流れる電流の大きさと、発生する熱の量の関係を表したものが「ジュールの法則」。

トラブルを未然に対策

オームの法則から、ジュール熱を計算し、日常に発生するトラブルをこれらの法則で未然に対策してみましょう。
世の中で起きている火事の原因には、電気が原因の火災もあります。
電気ストーブに洗濯物が落ちた火災はわかりやすいですが、今回の記事は一見わかりにくく、そして一番怖いパターン。
ご自宅の火事をオームの法則とジュールの法則から未然に防ぐケースを紹介します。

電気火災には前兆があります。
例えば、延長コード表面のビニールが溶けていたり、茶色く焦げたりしていたりなっていないでしょうか。
この延長コードを例に話を進めます。

使用機器:ガレージに設定している明るい照明
消費電力:1000W
この照明を延長コード経由で使用していた。
延長コードの定格表示:5A、125V

1. 電流値の確認

延長コード表面が溶けたということは、この電線に許容以上の大きな電流が流れて、電線が発熱したことが原因と考えられます。
では、延長コードにはどれだけの電流が流れていたのでしょうか?
機器には消費電力が明記されていても電流値が明記されていないものが多いです。

消費電力(P):1000W
電圧(V):100 V電流(I)=消費電力(P)÷電圧(V)=1000W÷100V=10A

延長コードの定格は、5A、125Vですので、定格の2倍の電流が流れていることがわかりました。
この時点で、延長コードを15A(1500W)の定格品に交換すればいいとの結論がだせます。

さらに状況を詳しく見ると、延長コードは束ねられており、発熱した熱の逃げ場もなくなり、どんどん加熱が進んだことにより表面のビニールが溶けたと考えられます。
やっぱり、コードを束ねるのは危険だったんです。

2. 延長コードに発生した熱量を求める。

まず、オームの法則で照明の抵抗を求めます。

抵抗(R)=電圧(V)÷電流(I)=100V÷10A=10Ω

※実際には延長コードも抵抗ですが、0.3Ωと小さいですので今回は無視します。
次にジュールの法則で延長コードに発生する熱量を求めます。

ジュール熱(H)=電流(I)2乗 x 抵抗(R)=100Ax0.3Ω=30ジュール

一秒あたり30ジュールの熱が発生していることがわかります。
延長コードが許容するジュール熱はいくらまでなのでしょう

許容電流値:5A25Ax0.3Ω=7.5ジュール

となりますので、10Aの電流が流れている場合は4倍のジュール熱が加わっている計算になりました。
また、抵抗の大きさは、温度が高くなるにつれて大きくなるので電線が熱くなった時の発熱量は実際の計算よりも高くなっていたと考えられます。

いかがでしたでしょうか?
実際に起きると思われるケースから、これらの法則がどのように活用できるかを考えました。
今一度、家のコード類を確認していただき、火事と言う悲惨な事故の無いようにしてください。


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