考え方

「チェイサー」は水ではない


BARなどで、度数が強いお酒を注文すると、店員が「チェイサーはいかがなさいますか?」なんて聞いてくることがあります。
私が思うのは、この聞き方は少々不親切だと思うのです。

初めてのチェイサー

時効だから言いますが、19歳の頃にショットバーで、確か「マティーニ」だったと思うのですが、それを注文したときに店員に聞かれました。
「チェイサーはいかがなさいますか?」
私は、チェイサーが何なのか知らなくて「それは要りませんが、お水をください」と言ってしまったことがありました。
店員も少し笑って、同席してた友人も笑っていましたが、何を笑われているのかさっぱりでした。
話が落ち着いたときに、連れの友人が「チェイサーが水のことって、知らなかったの?」って言われました。
私は「それやったら、お水は要りませんかって聞いてほしかったわ」ってちょっと顔を赤くして言い返したのを思い出しました。
ただ、今ならわかるのですが、当時の私の対応は、実は合っていたような・・・?

カッコいいチェイサー

それから2,3年ぐらい経過した頃、11歳年上の先輩と再びBARに行ったことがあります。
その時の先輩は、ウイスキーをストレートで注文した、そして店員が聞きます!
「チェイサーはいかがなさいますか?」
私は、心の中で「キター!」って思いました。
すると先輩は「チェイサーは黒ビールで!」
「はい?」
当時の私と違って先輩はBARの常連、この先輩に限って間違えるはずがないと思ったので、私も同じ組み合わせを注文しました。
この先輩は大人だから、遠慮なく聞いてみました。

瀧 :「チェイサーは水じゃなかったの?」

先輩:「チェイサーが水やソーダだけって思ってるのは素人」

なんと、チェイサーは、水だけではなく、ソーダのことも言うことを始めて知り、さらにチェイサーの意味を深く教えてもらえることになりました。
それを聞いた後で思ったのは、チェイサーで黒ビールを注文するなんて、めっちゃカッコいいと。

チェイサーは、客が使う言葉ではない

寿司屋で会計するときに客が「お愛想して」とか、醤油が欲しい時に「むらさき下さい」とか、わさびが欲しいときに「なみだ下さい」なんていう人がいますが、これは客側が使う言葉ではありません。
知識として知っておくことは良いことですが、これらの用語はお店側の人のみが使う言葉です。
お店の人は、ツッコミを入れることなく対応してくれますが、逆に恥をかくことがあるので、明日からは止めたほうがいいでしょう。
「チェイサー」もそれと同じで、客側が使う言葉ではなく、お店の人だけが使う言葉なんです。
だから、間違っても「チェイサーください」なんて言わないことです。
まして店員が「チェイサーはいかが」なんて、恥を知ってほしいと思いますね。

チェイサーとは

アルコール度数の高いお酒を飲んだとき、口内がしびれる時があります。これをリセットするのが役割になります。
他には、胃に負担がかかりすぎるので、それを軽減させる目的でもあります。
お酒が好きな人の中には、”閉じている香りを開かせたるため”なんて訳のわかんないことを言う人もいます。
どの理由であっても、度数の強いお酒を口にした後に飲むので「チェイサー」と呼ばれています。
これとは逆に、度数の弱いお酒の後に、度数の強いお酒を飲むことも「チェイサー」と呼びます。
ですから「チェイサーはいかがなさいますか?」と聞かれれば、お水が欲しいなら「水」と言えばいいし、コーラやビールでもいいわけです。
くれぐれも「はい、チェイサーはいただきます!」なんて言わないようにしてください。
お客様の揚げ足を取る店員は普通いませんが、実は店員さんは困っているはずです。

さいごに

気の利くBARなら、ウイスキーなどの度数の強いお酒をストレートで注文すれば、何も言わずにお水(チェイサー)を出してくれます。
でも、注意して欲しいのは、ストレートではなくロックの場合、氷が入っているから、あえてチェイサーを出さないBARがあります。
これは、わざとなのでチェイサーが欲しいときは、自分で注文しなければいけません。
もちろん、「チェイサーをください」と言えば、黙って水を出してくれるお店は多いと思いますが、本当ならなにを要求しているのかは店員には予測不能な言葉です。
この場合、割合的に多い水を予測して出してくれる場合が多いのですが。
チェイサーと水はイコールではないので、チェイサーを何にするかは、ご自信で具体的に指定するのがマナーという話です。


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