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本の紹介「無病法」

本の紹介「無病法」

著者のルイジ・コルナロは、かなり昔の人ですが、目も耳も歯も完全な状態で102歳まで生きた人物でした。
子供の頃から病弱だったのに、少食にしただけで健康に長生きして、人生そのものを最大限に楽しむことに成功した人でした。

ルイジ・コルナロとは

1464年生まれのイタリアの貴族で、若い頃は暴飲暴食に明け暮れる毎日を送っていました。
でも、30歳を超えたあたりから病気になりやすくなって、40代の頃には体調を崩して生死の淵をさまようような状態になってしまったんです。
元々胃が弱かったこともあって、ありとあらゆる治療法を試したのに、どれも効果がなかったみたい…
そんなある日、長年コルナロを見ていた医者からこんなことを言われました。

「食べる量を、少食よりも更に少ない量にする以外に助かる見込みはないです」

コルナロは、以前にも少食にするべきだと医者から何度も言われていましたが、食欲に勝てずに満腹まで食べていました。
でも、45歳になったコルナロは、もう少食をためらっているような健康状態ではありませんでした。
そこでコルナロは、助かりたい一心で、医師の言われた通り食事の量を減らしてみることにしました。
すると、2ヵ月もしないうちに回復の兆しが見えて、本当に体調不良の病が治ってしまったんです!
そればかりか、1年後には完全な健康体になった上に性格も穏やかになりました。
その後、仕事でも大きく成果を出して、80歳を超えても山登りを楽しみ、晩年まで文筆活動を行っていました。
そしてコルナロは、102歳の時にお昼寝をしながら穏やかに息を引きとったといいます。
実際にヨーロッパでは、当時のレオナルドダヴィンチやミケランジェロよりも有名人で、彼の書いた本はミリオンセラーになっています。

コルナロの食べていたもの

コルナロが小食にしたのはわかりましたが、実際にどんなものを食べていたのか気になりますよね。
コルナロが1日に食べていたのは、パンと卵の黄身、少しの肉か魚、それとスープだけで約350gに厳しく制限していました。
(個人的には卵の白身をどうしていたのか気になりますが…)
それと、赤ワインを1日に400ml飲んでいました。
それを1日に2回。1食あたり170gの食べ物と赤ワイン200ml。
ワインは少し多い気がしますが理由は後述します…
また、1口ごとに120回は咀嚼をしていました。
こんな食事量で、本当に生きれるのか心配ですが、実際にコルナロは、この食生活を続けることで心身ともに健康になっています。
逆に少しでも食事量を増やすと、すぐに不調になったそうです。
そして、コルナロが飲んでいたのは赤ワイン。
赤ワインには長寿になると言われているサーチュイン遺伝子を起動させる成分が豊富に含まれていたんです。
ちなみに、このサーチュイン遺伝子は少食にすることでも起動させることができます。
参考記事:老いなき世界
つまり、コルナロの行っていた少食で赤ワインを飲むという食生活は、健康長寿になる条件が揃っていました。
コルナロは、そんなことを知らない時代からこの食生活を行っていたわけで、自身の感覚で体にいいことを感じ取っていたのかもしれません。

少食にしていれば病気にならない

消化できなかった食べ物が老廃物になり、それが病気の原因になっているとコルナロは著書の中に書いています。

少食にさえしていれば、病気の原因が日々取り除かれるため、病気になることはない。

つまり、私たちが病気になるのは食べ過ぎが原因だと著書の中で書いています。
ちなみに釈迦もこう言っている。

病気になったら食を断つべし

さらに、古代ギリシャの医者ヒポクラテスもこう言っている。

病気のときに食べるのは良くない

実際、風邪をひいたときは食欲がなくなりますよね?あれは、食べない方が病気の治りが早いからって体が知っていて、食べると消化にエネルギーや酵素を使わないといけなくなり、それは体にとってかなりの負担になるから、体は病気と闘うために食事を摂らせないようにしむけているわけ。
食事の食べ過ぎが、あらゆる病気の原因だから、コルナロは小食にすることで「医者にかかる必要はない」とまで言っています。
医者って、病気を見つけることは得意なのですが、治すことは苦手なんですよね。
病気って、実は薬を飲んで治すのではなく、自身の自然治癒力で治していると聞いたことがあります。

最高の医者は自分自身

自分で食事をコントロールしなければ、何度も病気になるとコロナロは言っています。
コルナロは70歳の時、馬車に引きずられる大事故に遭ってしまったけど、医者にかかることなく、いつものように少食の食事を続けただけで、その怪我を完全に治してしまいました。

大食いすると不健康になる

コルナロの食事量は極端に少なかったため、周囲の人たちが「もう少し食べないと元気がでないぞ」と何度も言ってきました。
そこでコルナロも、何度か友達に勧められて食べる量を増やしてみたけど、すぐに体調が崩れ、気分も悪くなり、怒りっぽい性格になってしまいました。
そこで食事を小食に戻すと、やはり体調が回復しました。
いつの時代もたくさん食べることはいいことのように思われていて、少食の人は体が弱そうとか、お金がなくてたくさん食べられないのかな?とか思われています。
でも真実は逆。
少食の方が健康的で、大食いの人ほど不健康なんです。
コルナロは、いろんな人を見ていて、大食いの人が40~50歳になると様々な病気にかかり、最後には意識が朦朧(もうろう)として廃人にようになり、早く死んでしまう人が多いことに気が付いたそうです。

晩年の健康状態が人生の幸不幸を左右する

好きなものをたくさん食べて、それで早く死ぬならそれでいいじゃないかって思いますか?
確かに短くても好きなように生きるほうが幸せだという人もいます。
でもそれは、食事を少なくすると、いかに幸福な生活を送ることが出来るのかを知らないだけなのかもしれません。
そもそも健康長寿は、この世のどんなものよりも素晴らしいことだと思います。
どんなに多くのお金を手に入れたとしても、病気で苦しむようでは幸せとは言えませんよね。
若い頃、どれだけ元気で活躍していても、老後になって病気になり、寝たきりの生活になったら、自分の人生はなんて不幸なんだと感じるわけです。
ドラマや映画と同じで、晩年の健康状態が人生の幸不幸を左右するといっても過言ではありません。
今さえ良ければいいと考えているとバッドエンドになりますよ。

自分にあう食べ物を探す

コルナロは、自分の体に合う食べ物を、ほんの少し食べるべきだと著書の中で書いています。
体に合う食べ物とは、食べたいものではありません。
食べたいものを食べていたら、それこそ不健康になります。
人が食べたいと思うものは、アイスクリームやチョコレート、ポテトチップスや霜降り肉だったりします。でも…これって明らかに体に悪いですよね。
つまり、食べたいという気持ちに従って食べ物を選ぶと酷い目にあいますって話です。
そうではなく、食べていて気分が良くなったり、次の日に活力を与えてくれる食べ物だけを摂るのです。
日本人に合っているのは、玄米や野菜、海藻や木の実、ヨーグルトや納豆などの発酵食品。
人はそれぞれで、どれが本当にあっているのかは自分しかわからないから、いろいろ試してみるべきなんです。
自分で食べてみて健康を実感できれば、それを食べるようにといっているわけ。
ちなみに私はオートミールと押し麦が体にあっている最近気が付きました。

少食にすると見た目が若返り気分が爽快になる

精神的にタフになりたければ少食にするべきだとも言っています。
実際にコルナロは、突然襲ってきた不幸や予期せぬ訴訟が起こったとしても心が乱れることはありませんでした。
それどころか、どんな困難が降りかかろうと悩んだりすることはなかったのです。
しかも、頭が良くて見た目も学習意欲も衰えなかったといいます。
実際にアメリカのウィスコンシン大学が20年間かけて行った実験で、一方の猿にはたくさん食べさせて、もう一方の猿にはカロリー制限をさせた。
その結果、少食にしていた方が非常に若々しい見た目だったのに対して、たくさん食べていた方はひどく老けてしまった。
また、小食の方が大食いよりも1.6倍長生きしたそうです。
ということで、この結果からも小食で見た目が若くなり、長寿になるのが証明されています。

晩年のコルナロの生活

コルナロは、年老いてさらに元気になっていきました。
80歳を超えても誰の助けもなく馬に乗ることができたし、階段も自分で歩くことが出来たし、山に登ることもできた。
いつも陽気で、心が曇るようなことは一切ありませんでした。
1日のうち、かなりの時間を会談など話をして過ごし、それ以外の時は読書と執筆活動を行っていました。
そして、数多くの事業を成功させて孫が11人いました。
死ぬまで、目も耳も歯も完全な状態で102歳の時に穏やかに眠るようにして亡くなり、身をもって小食が健康に良いことを証明したんです。
これがルイジ・コルナロの本が今も読まれている理由ですよね。
ちなみにコルナロは「私はこれまで老年というものが、これほど素晴らしいものとは知らなかった」と語っている。

さいごに

コルナロは、元々小食だったわけでもなく健康だったわけでもない。
普通に大食いをする体の弱い人でした。
死にかけるというきっかけがなければ小食にすることはなかったし、できなかったと思います。
今から、私たちがラーメンもピザもチョコレートもやめて小食にすることは、辛すぎてできないと思います。
だって、友達と会ったりする時に焼肉とか行くでしょ?それは食事がコミュニケーションツールだから。
でも病気になったとき、あるいは病気が見つかったとき、この本を思い出してみてほしいのです。
もしかしたら、自分を救う大きなきっかけになるかもしれないから。


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