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時代を超える普遍的なメッセージとは


若くして息を引き取る

2017/4
先日、善ちゃんの姉のような存在の方が、若くして息を引き取った。
その姉が最後に言った言葉

「いっ・・・痛い」

このことを、自分の胸をグッっと掴みながら善ちゃんは私に言いました。
これを聞いた私も、なんとも言えない気持ちになりました。

闘病期間も長く、こうなるのは時間の問題だと誰もが心の中で思っていたかもしれません。
治療は辛く治る見込みがあるならまだその苦労は報われたのですが・・・
ほんの少しの可能性のために・・・いや、それ以下かもしれない。
さぞ、本人は辛かったことだと思う。

自分が一番よくわかる

自分の体は自分が一番よくわかると言います。
もはや、治る見込みがないのも、自分自身がよくわかっていたのかもしれません。
しかし、大切な家族たちの期待を裏切るわけにもいかず、根を上げるのも我慢して闘病生活を続けていた。
家族もまた、大切な親族に生きる可能性が少しでもあるならって思うのもよくわかります。
だから、こういった問題には、誰もがそれぞれの意見を持っているにもかかわらず当たり障りのない事しか話が出来ない状況になり、結局医師任せといった最悪な状況を作ってしまうのです。
医師といえば、病気にしか興味がなく患者の心には見向きもしないように私には見えます。

ナルキッソス

私は、ギリシャ神話のナルキッソスを思い出しました。
ナルキッソスとは、「ナルシスト」の語源にもなったナルシシズムの象徴です。

妖精のエーコーは美男子のナルキッソスのことをとても慕っていました。
ナルキッソスもなんとなく、エーコーにだけは興味を示していました。
妖精のエーコーは神々の王ゼウスの妻であるヘラの嫉妬により罰を与えられます。
その罰とは、相手の話の最後の言葉しか繰り返せないというものです。
そう、妖精のエーコーとは木霊(こだま:echo)のことです・・・きっと。
これによって、妖精のエーコーはナルキッソスに自分の思いをうまく伝えることが出来なくなりました。
一方でナルキッソスは、他の妖精たちにも慕われていたのですが、まったく寄せ付けようとはしませんでした。
怒った妖精の一人が復讐のため、女神ネメシスにある呪いをかけるようにお願いをしました。
その内容とは
自分の姿に惹きつけられるという呪い。
その呪いによって、ナルキッソスは自分にしか関心が向けられなくなってしまいました。
ナルキッソスは、水面に映る自分の姿に魅せられ、自分の姿に恋焦がれて憔悴(しょうすい)し、命を落とし、池のほとりに咲く水仙になってしまいます。

IF(もしも)

この神話で興味深いのは、もしもナルキッソスが、エーコーに対して愛のある言葉を伝えていたら、エーコーはその最後の言葉を同じように繰り返し、ナルキッソスに愛のある言葉を伝え返すことができていたのです。
そして、ナルキッソスも、その呪いから解放されていたかもしれなってところ。
ナルキッソスは、自分の本質に目を向けることができず上辺の美しさにとらわれている状態でした。
不完全な自分、そしてありのままの自分の中にある豊かさを発見することができませんでした。
完全な理想に近づきたいと願うのですが、意識が自分にのみに向ってしまうと、このような結末を迎えてしまうといわれています。

この神話を通して伝えたいこと

大切な家族がこのような状況に遭遇したとき、ナルキッソスにかけられた呪いのように、上辺だけの理想を追い求めるのではなく、人間といった不完全ものを、ありのまま見ることを考えてほしいと言うこと。
そして、ナルキッソスはエーコーに伝えるべき言葉を言っておく必要があったこと。
何が一番大切なのかを、みんなで話し合い、それぞれの意見を遮らずに聞くことが出来れば、違うエンディングがあったのかもしれないことを。


葉隠 瀧: このサイトを管理しているのが葉隠 瀧です。
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