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教科書にはない設計ノウハウ 板金設計の組み立て編


教科書にはない設計ノウハウ コスト編
教科書にはない設計ノウハウ 公差編
教科書にはない設計ノウハウ 板金設計の曲げ加工編
教科書にはない設計ノウハウ 板金設計のねじ穴編
板金設計の分野はシリーズ化して記事を投稿しています。
曲げ加工編、ねじ穴編とつづき、最後は組み立て編。
今回の記事は、板金設計においての組み立てに関する設計ノウハウを提供していきます。
板金特有の溶接方法もありますので参考にしていただければ幸いです。

ダボ(ハーフパンチ加工)

組み立てする時に位置を決めるのに使います。
「ダボ」があれば、冶具を使用する必要がなくなり、作業工数が減ります。
スポット溶接する時と、ネジで固定する場合とで、サイズを変更していますので参考にしてみてください。

スポット溶接時

穴側(凹):φ4.1±0.05
ダボ側(凸):φ4.0±0.05

ネジ組み立て時

穴側(凹):φ4.2±0.05
ダボ側(凸):φ4.0±0.05
この公差は、加工するのに全く問題ない精度ですので図面に記載しても大丈夫です。
ダボ加工の場合、凸を作るわけですので、裏面には凹が現れます。
この凹が外観(ユーザーの見える所)に現れる場合は、パテ埋めなどの処理が必要になることがあります。
このパテ埋めは、コストUPとなるため、外観面のダボに関しては、裏面に凹が出ない「FPダボ」の採用も検討してください。
「FPダボ」は、その金型を所有している工場でないと対応は出来ません。
図面に記載する場合は、凸方向を必ず指定してください。
「ダボ」のピッチ距離の交差は±0.1ぐらいで大丈夫でしょう。
凹側の穴ピッチは、基準穴を真円とし、他の穴は長穴とし、交差は不要でしょう。

ポンチング

ステッカーなどを貼り付けするときに、位置決めようとして使用することがあります。
3点あれば、位置を確定出来ますので、シールの形状に合わせて使用してください。
ポンチングの径は、φ1.0でよいでしょう。

スポット溶接

一番無理のない理想的な結合は、同じ材質で、同じ板厚となります。
アルミ板の場合、スポット溶接の難易度がかなり上がりますので、出来上がった現物のナゲット径の管理は非常に重要となります。

ナゲット径の求め方

ナゲット径 = 2.5 + 2 x 板厚
板厚が違う場合は、大きい板厚で計算する。
材質(アルミ以外)が同じであれば、3倍程度まで、違う板厚を結合することが出来ます。
スポット溶接の点数を増やせば強度が強くなるのですが、スポットピッチが近くなると、加工不良がでますので最小ピッチを管理する必要があります。

板厚 : 最小ピッチ

0.5~0.8 : 15
1.0~1.6 : 25
2.0~3.2 : 40

すみ肉溶接

防水を確保する時などは、板と板の合わせ部は、すみ肉溶接する必要があります。
外観に関する部位に取り付ける部品であれば、表面仕上げが必要となります。
この場合、板厚とおなじRで、グラインダー仕上げを行うように指示をします。
t2.0であれば、R2程度
塗装をする場合は、溶接仕上げ部にパテ付けを行うことが望ましいでしょう。

突き合わせ溶接(I形溶接)

板と板をつき合わせた部分を溶接する場合は突き合わせ溶接をする必要があります。
外観に関する部位に取り付ける部品であれば、表面仕上げが必要となります。
この場合、グラインダー仕上げを行うように指示をします。
塗装をする場合は、溶接仕上げ部にパテ付けを行うことが望ましいでしょう。

C面取り、R取り

板金部品のむき出しになるコーナーは、C面取り、または、R取りを行います。
C面取りとR取りを迷う場合、どちらでもよいなら、C面取りを採用しましょう。
それはコスト面で有利になることが多いから。
サイズは、必ず板厚以上に設定すること。

バリ取り、カエリ取り

ステンレス板の場合、バリ(カエリ)を取るだけではなく、C0.2程度のエッジ処理が望ましいです。
鉄やアルミよりもケガをする恐れがあります。
組み立て作業者や使用者がケガをしないように、安全処理を行う必要があります。
塗装を行う場合、バリ(カエリ)のエッジから塗装が剥がれることがありますので、C0.2程度のエッジ処理が望ましいです。

ニブリング跡

レーザーで加工した場合は、「ニブリング」は発生しませんが、プレスで大きな穴を加工した場合、ニブリングが発生します。
外観上の問題になるかどうかを事前に確認しておき、加工方法を検討しておく必要があります。
設備の都合で、レーザーが使用できない場合は、Ra12.5以下程度に仕上げる指示をするといいでしょう。


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