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    Categories: メモ

本の紹介「科学的な適職」

仕事をしていて幸せな人というのは一体、どれくらいの割合で存在するのでしょうか?
とても少ない割合なのは確かですが、仕事をしていて幸福を感じている人も実際には存在しています。
その違いは「科学的な適職を選べているかどうか」と本書では書かれていました。

適職とは、能力や適性に当てはまる職業というよりは”幸福感が最大化される仕事”という意味で定義されている。
”幸せに働けるなら、それは適職と言える”とう考え方。

そもそも人は、適職を選ぶのが得意ではありません。
人類史で言うと、人が好きな仕事を選べるようになったのは最近の話。
原始時代なら部族の一員として狩りをしていて、江戸時代なら親の仕事を継いでいました。
ヨーロッパだと人が職業を選べるようになったのは19世紀に入ってからです。
つまり、人の脳には職業を選ぶための考え方(プログラム)が備わっていないんです。
この本を読めば”幸福度が最大化される仕事の選び方”を知ることが出来るかもしれません。

好きを仕事にしない

好きなことを仕事にしよう!

これは、スティーブ・ジョブズのスピーチで広まった考え方。
仕事が自由に選べる時代において、多くの人がこの言葉に惹かれるのは当然でしょう。
でも、それだと幸福に離れないと言う話。
ミシガン州立大学の研究によると「好きなことを仕事にするのが幸せだ」と答えた適合派と、「仕事は続けるうちに好きになるものだ」と答えた成長派の2つのグループに被験者を分けたところ、成長派の方が幸福度が高いと言う結果でした。
好きなことを仕事にしたら幸福度は高まりますが、それは最初だけ。
長い年月で見ると、幸福度・年収・役職などのレベルは、成長派の方が上でした。
また、「好きを仕事に」という考え方だと「思っていたのと違った」なんて経験したりして、実際には、どんな仕事も好きになれなかったりします。
実際、仕事なんて泥臭い部分も多く、面倒な作業が多いことは当たり前なんです。
好きなことを仕事にしていた人ほど「本当はこの仕事が好きではないのかも」となりやすいでしょう。
そうなると、やる気が低下し、安定したスキルも身につかずに辞めてしまったりします。
好きなことより、自分に出来ることを仕事にするべきで、なんとなくやっていたら楽しくなるという事は良くあります。

給料の多さで選ばない

どうせ働くなら収入は多い方が良いと思うのは自然な事ですが、やりたい事がない人ほど、この傾向があります。
フロリダ大学の研究結果から、給料の多さで幸福度や仕事の満足度は関係ない事がわかっています。
例えば、健康レベルが「普通」→「ちょっと体調が良い」に改善した時の幸福度は、収入アップから得られる幸福度の65倍も大きい事が分かっています。
これは、年収400万円の人が年収1300万円程に上がった時との比較結果です。
つまり、年収が900万円上がることは、健康状態が少し良くなる事の1/65しか幸福度が感じないという事。
お金で得られる幸福度は実は少なく、お金持ちの中には孤独で幸福感のない人も多く、どれだけお金があっても、友達が0人だと幸せな人生は送れません。
また、給料アップの幸福感は平均して1年しか続かないことも研究結果から明らかになっています。
これは、いくら給料が上がった所で、自分より上の人と比較すると幸福感が低下することが影響しています。

仕事は楽(らく)さで選ばない

しんどい仕事は嫌だし、出来るだけ楽な仕事を選びたくなるかもしれません。
仕事のストレスが大きい人は脳卒中や心筋梗塞にかかりやすいことは確実ですが「楽すぎる仕事」もまた、幸福度を大きく下げるようです。
複数の研究結果から、明らかに仕事の量が多いにもかかわらず、高い役職に就いた人ほど健康で幸福度が高いという事がわかっています。
イギリスの研究によると、役職のランクが最も低い人は、重要な仕事を行う人に比べて死亡率が2倍も高かったと言います。
つまり、適度なストレスはメリットということになります。
仕事が難しいと不安でストレスを感じるけど、自身のスキルに合っていてば、やる気や満足度に繋がります。
楽で簡単な仕事だと、無気力になったり退屈になったりするものです。

伸びる業界や職種で選ばない

どんなに知名度のある専門家でも、どの業界が伸びるなんて誰にもわかりません。
ペンシルベニア大学の研究では、1984年~2003年に学者、評論家、ジャーナリストなどの248人の専門家を集めて、5年後の経済や企業の状況を予測させました。
結果、専門家の予想は、コイントスと同じ50%の的中率でした。
今後伸びる業界なんて、誰にも分らないということ。
専門家に踊らされることがないように、しっかりと自分の意志で仕事を探すことです。

自由があるか

自由ほど幸福感を左右する要素はありません。
台湾の研究では、作業スケジュールを自由に設定できたり、業務の内容が好きに選べたりする自由な職場ほど、仕事の満足度が高くて離職率が低いことがわかっています。
自由だと、ストレスが高い作業をしている時も、ネガティブな気持ちになりにくかったようです。
ロンドン大学のリサーチによると「タバコを吸うが自由度が大きい職場」よりも「タバコを吸わないが自由度が小さい職場」の方が体を壊しやすく、慢性病にかかる確率も高い事がわかりました。
つまり、仕事の自由度は、タバコよりも健康に大きな影響があるということなんです。
「労働時間の自由度」と「業務ペースの自由度」は可能な範囲でチェックするほうがよいことになります。

達成感があるか

仕事のやる気は、小さな達成の積み重ねで決まります。
モチベーションが高まるのも仕事が前に進んでいる時だったりします。
ドラクエのようなロールプレイングゲームが面白いのは、レベルアップという小さな達成の連続だからかもしれません。
適職探しのポイントとしては、「仕事の評価はどのように得られるか」が重要になります。
工場でひたすら惣菜を作る環境よりも、料理を食べているお客さんの反応が見られる環境の方が達成感は得られやすいでしょう。

タイプは合っているか

人は「攻撃型」と「防御型」の2タイプに分けられます。
攻撃型に向いているのは、動きの速い業界。
コンサルタントやクリエイターやアーティストなど。
利益に焦点を当てて、競争に勝つのが好きで、リスクを取ってでもお金や名誉などを求めて目標を達成しようとします。
つまり、サービスや商品の変化が激しく、柔軟な発想を求められるような仕事。
防御型に向いている人は、できるだけ安全な場所に身を置こうとします。
事務職や弁護士、技術者など。
目標を責任の一種ととらえて、競争に負けないために働き、自分の義務を果たそうとします。
つまり、やるべき事が具体的に決まっている仕事で能力を発揮します。
ゲームの話で言うと、魔法使いが重い剣を振り回すよりも、魔法を使った方が合理的なのと同じです。
攻撃型なら、進歩や成長を実感しやすい仕事を探し、防御型なら、安心感と安定感を実感しやすい仕事を探すといいでしょう。

バラエティーに富んでいるか

バラエティーとは多様性の事ですが、経営者は従業員に決まった仕事を任せたがります。
でも、それだと多様性がないため幸福度が下がります。
レストランに例えると、料理を運ぶ人、注文を聞く人、レジを打つ人など、明確に役割分担をすると業務スピードは早くなりますが、働く人の幸福度は下がります。
いくらその作業が好きな人でも、いつも同じことをしていると息が詰まります。
職場を探すときは、自分のスキルや能力を幅広く活かすことができるか、業務の内容がバラエティーに富んでいるかを調べた方がいいでしょう。

ヘルパーズハイになれるか

ヘルパーズハイとは、親切により幸福度が上がる効果の事。
人は他人のためになることをすると、自分で自分の幸せを選択できた気持ちになれます。
親切な行いにより、他人と近くなった気分になって、孤独感から解放されたりします。
この事は脳科学の研究でも認められていて、役立つ行為をした直後には、頭の中にドーパミンがあふれ出すことがわかっています。
違法ドラックで快楽が得られるのも、一時的に脳内にドーパミンが増えるからだと言われています。
私たちは、社会への貢献でハイになれます。
普通の職業なら他人のためになるのですが、自分の行為が他人の役に立ったと実感できるかどうかがポイントです。

さいごに

仕事で幸福感を感じるためには、一般的な仕事選びではダメってことが書かれています。
当たり前のように、よくある仕事探しの方法を選択しそうですが、それが正しいのであれば、みんなが幸せに仕事が出来ているはずなんです。
仕事に幸福感を得たいと思うなら、科学的な適職を探してみるのも方法の一つでしょう。


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