X

スポンサードリンク

スポンサードリンク

『エコキャップ運動』は本当にエコなのか?


自販機の前で、小学生達がこんな会話をしていました。

少年A:「ペットボトルのキャップからワクチンが出来るって学校で聞いたけど、本当にこんな物がワクチンになるんか?」
少年B:「そうそう、それ俺もずっと気になっててん。アルミ缶のプルタブからでも車いすが作れるらしいけど、どうやったらタイヤとかに変わるのか、ずっと不思議やねん!」

私は、その質問の答えを教えてあげたかったけど、高確率で「変なおじさん」扱いされると思ったので、教えたい気持ちをグッっと堪えて聞き流し、その場を立ち去りました。
多くの大人ならペットボトルのキャップや缶のプルタブから製品を作るなんて思わないと思うのですが、少年達が疑問を持つのもわかります。
一言で説明すると、これらの資源を売って「売却益」から製品を買うわけで、わかりやすく言うと「物々交換」みたいなものです。
これらの運動は「エコ」だと称賛される傾向にありますが、こんな活動はエコでもなんでもない。
関連記事:プルタブ集めは昭和時代の文化、今は必要ないって話

400個集めて15円の売却益

ペットボトルのキャップを400個集めると、約1kgの重量になります。
ペットボトルのキャップ材質は「ポリエチレン」か「ポリプロピレン」のどちらかで、それらの材料ならば通常の売値は約217円/kg(※価格は変動します)。
なのに、なぜ15円/kgでしか売れないのか?とても違和感がありませんか。
400個集めて、15円…これ、なんだか深い闇がありそう。
ペットボトルのキャップを買取するリサイクル事業者は、約200円/kgの利益があることになります。
エコな活動と言いながら、ただリサイクル事業者だけが儲かっています。

売却益の計算してみる

佐川急便の「エコキャップ配送サービス」を利用するとして、発送用の専用袋が「1,350円/20枚入り」で購入する必要があります。
1袋に入るキャップの量…6kg
1袋の発送費用…420円

売却益 = ( 15円 × 6kg ) - ( 420円 + 67.5円/枚 )
売却益 = -397.5円

「はい?」
つまり大赤字です。
こんなことするなら、何もせずに400円を寄付したほうが現実的です。
売却益が90円の物を、487.5円の費用をかけて発送する…
一生懸命ペットボトルのキャップを集めて、水道の水を使って洗い、乾かし、袋に詰めて、発送手続きした結果が大赤字
それにひきかえ、キャップを買取するリサイクル事業者は、送られてくれば送られてくるほど儲かります。
これでは、いつまでたってもワクチンと物々交換なんてできませんよね?
せめて“通常の買い取り価格の50%”でリサイクル業者が買取りをしてくれていたら、1袋発送するごとに約160円の利益がでるはずなのに。

売却益 = ( 108.5円 × 6kg ) - ( 420円 + 67.5円/枚 )
売却益 = 163.5円

でも、希望だけ言っても仕方がないので、佐川急便の「エコキャップ配送サービス」は利用しないほうがいいでしょう。
集めている団体に、直接渡すほうが…まだマシ?
まぁ結局、その団体が損をするだけなんですが・・・

リサイクルの手間

リサイクル業者にも言い分があります、ペットボトルキャップの材料がポリプロピレンだけと決まっているならいいのですが、ポリエチレンも含まれているため、選別しないと安定した品質の再生品を作ることができません。
さらに、ラベルシールが残っている場合があったり、洗浄が不十分なものがあったりするため、もう一度洗浄する必要があります。
このような事情があり、リサイクル業者も通常の買い取り価格で引き取ることができないわけです。
ですから『通常の買い取り価格の50%』とリサイクル業者にも譲った提案をしています。

改善提案

・キャップの材料を「ポリプロピレン」だけなど一種類に統一させる。
・ゴミステーションにキャップ置き場を設置して、市町村のゴミ回収と一緒に回収してもらうなど、回収方法を一元管理する。

さいごに

この活動を『エコキャップ運動』といいますが、確かに2005年までペットボトルの本体しかリサイクルされていなかったので「キャップもリサイクルできれば良いのに」といった着目点は非常に評価することが出来ます。
私は『エコキャップ運動』を否定するつもりはないのですが、今の仕組みでは輸送時に発生するCO2の増加で、環境負荷的にはデメリットが大きすぎるのではないかと考えています。
神戸市立飛松中学校では、平成27年にエコキャップとプルタブの回収を中止しています。
本当に、意味のある活動とは、ワンクリック募金のようなことなのかもしれません:クリックするだけで救える命があります。
関連記事:プルタブ集めは昭和時代の文化、今は必要ないって話


葉隠 瀧: このサイトを管理しているのが葉隠 瀧です。
Related Post