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レストランのアルバイト マニュアル編


マニュアル

ファミリーレストランのチェーン店で働いたことがある方なら知っていると思いますが、こういったチェーン店には店ごとや個人によってサービスの差が出ないように、恐ろしいほどすべての内容がマニュアル化されています。
私が若いときに働いていたレストランもそうでした。
例えば、オレンジジュースはグラスの55%入れてから氷を6個入れるとなど、事細かく決まっていたものです。
実際、このオレンジジュースをマニュアル通りに作ると氷を入れる時にオレンジジュースが飛び散ります。
だから私は先に氷を入れてからジュースを入れていましたが、見つかった時はすごく注意されていました。
しかもグラスの55%って少なすぎるんです。
私は、なんだか品祖だなぁって思っていたので少し多めにいれて提供していました。
これも見つかった時は注意されていました。
でも私は、自分が悪いことをしている意識がなかったので反省していなかった記憶があります。

今なら当時怒こられた意味を理解できます。それがお店の提供すると決まったビジネスモデルで、他のお客さんと差が出るのはやっぱりおかしいから。そして、経営方針を決めているのはアルバイトの自分ではなく経営者であって、従業員はそれに従う必要があること。

その時、私もまだ若くアホだったので言い返しました。

瀧 :「そもそもマニュアルが間違っているのに守る必要あるのでしょうか?」

キャプテン:「みんなが、マニュアルを無視して行動していたらどうなる?」

瀧 :「でもこれキャプテンはおかしいとは思わないんですか?」

キャプテン:「俺もこれは気に入らんよ。でもルールだから守っている。」

瀧 :「そんなに怒られるような内容ですかこれって?」

そう、この時の私は最低で完全に開き直っていました。

キャプテン:「なら、おまえがマニュアルを改訂するように本部と話をしろ。」

瀧 :「そんなことは出来ませんよ。」

キャプテン:「出来ない?なんで?」

瀧 :「どうやって本部と話するんですか?」

キャプテン:「全てお膳立てしないとお前はなにもできないのか?」

瀧 :「わかりました、一回電話してみます、お店の電話借りてもいいですか?」

キャプテン:「もちろんいいよ、今すぐ言って来い。」

レストランの本社に電話

若いって恥ずかしいですね、何の策も練らずにいきなり電話しました。

瀧 :「おはようございます! Yester〇ay ○○店の瀧 です。」

※夜でしたが、この業界では時間に関係なく「おはようございます」と挨拶します。

電話対応者:「おはようございます、ご用件を伺います。」

瀧 :「マニュアルの改訂について相談があるのですが?」

電話対応者:「アルバイトのあなたからマニュアルの改訂について相談できる窓口はありませんよ。」

瀧 :「話だけでも聞いてほしいのですが?」

電話対応者:「まずは、店長に相談してください。ガチャッ!」

取り付く島もなく、担当者すらも電話口にでることはなく一撃で撃沈しました。

キャプテンに電話して玉砕したことを伝えました。

キャプテン:「それで?」

瀧 :「”それで”って、マニュアルの改訂なんて僕には無理そうでしたよ。」

キャプテン:「だから?」

瀧 :「”だから”って・・・いや、諦めるしかありません!」

キャプテン:「へぇー、たった1回電話しただけで諦められるの?」

瀧 :「だって店長に相談しろって言われたし」

キャプテン:「次は店長に相談するんとちゃうんか?」

瀧 :「なんか言いにくいですよ」

キャプテン:「でも次の方法があるなら行動しろよ!」

その後、店長に相談してみました。
すると、店長も同じ疑問を持っていたようでした。
でも立場上、自分から上申することは避けたいと、はっきりと言われました。
これで諦めれると安心して、キャプテンに報告したところ、店長にも相談したから、もう一回本社に電話するように私に言いました。
私は気を取り直して再び本部に電話しました。
また同じ人が電話に出ました。私は「店長に相談したけど、店長はその件は関わりたくないと言っていたので直接話をさせてください」と言いましたが、それでも担当者に取り次いでもらうこともしてくれないまま電話が切られてしまいました。
結構自分なりに頑張ったつもりでしたが、再び玉砕したのでキャプテンに相談しました。

キャプテン:「次はどうするの?」

瀧 :「いやいや、もういいですよ、もう諦めがつきました。」

キャプテン:「たった2回の電話だけで諦めるな!自分の意見が通るまで言い続けることが大切なんじゃないのか?」

後から思ったのですが、これはキャプテンの嫌がらせか、自分がそのマニュアルを変えて欲しいと思っていたに違いありません。

瀧 :「じゃぁ、もう一回食い下がって電話してみますよ!」

キャプテン:「ちなみに同じことを100回言っても100回同じ答えが返ってくるからな。」

瀧 :「言い方を変え続けろってこと?」

キャプテン:「それも自分で考えろ!」

マニュアルが改定された

担当者に取り次いでくれない電話対応者にお願いするのをやめて、直接担当者に要件があると言い電話しました。
私は何度も話を繰り返し電話した結果、最終的にはマニュアルが改定されるところまでなりました。
最終的に、オレンジジュースにオレンジが添えられるまでに変化し、オレンジジュースの注文が一気に増えたと逆に感謝されました。
この結果に一番驚いていたのがキャプテンでした。
キャプテンは、どこまで言い続けるのかを見たかっただけで、マニュアルが改定されるなんて想像もしていなかったと言っていました。
「マニュアルを改訂させろ」なんて想像もできないようなことをこっちに提案しておきながら、なんて無責任な人かなぁって思いました。
キャプテンの思惑や思想は最後までわかりませんでしたが、この時の経験が今でも私を助けてくれている大切なスキルになっていると確信しています。

100回 同じ事を言っても、その答えは100回共同じ

今回の肝はここです。
同じことを繰り返し言うのはアホです。
下手すると避けられて嫌われるだけです。
そんな状況で突き進んだとしても絶対に進展することもないでしょう。
その都度、策を練り直して別の切り口で何度も挑戦する。
結構これ難しいです。
勇気と行動力と思考の3つの要素が必要になりますので。
でも、成せば成る。
レストランのようなサービス業にはマニュアルは必須だと思います。
しかし、サービス業においてマニュアルは基本でしかありません。
マニュアルを超えるサービスが提供できるようになればサービス業の達人だと言われるそうです。
私の場合はマニュアルを超えることを意識しすぎた愚か者でした。
このレストランでは他にもエピソードがあります。
関連記事:レストランのアルバイト経験から私が学んだもの 前半
関連記事:レストランのアルバイト 貯金箱編


葉隠 瀧: このサイトを管理しているのが葉隠 瀧です。
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