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家族が末期癌になったときの話 1


末期癌の場合、完治する治療が望めない。
ということは、どうやってエンディングを迎えることが最善なのかを、よく考えて決めていかないといけないということになります。
これらの決断のすべてが正しい答えではないといった哲学的な要素もあります。
私の経験したひとつの答えの記録を書き残しておきますので、同じような状況になった人の参考になれば幸いです。

疎遠家族からの急なお知らせ

私には、母と呼ぶ人は複数おりますが、理由があって産みの母とは、とてつもない疎遠でした。
この話は別の記事でも書いていますが、実の両親に対して、あまり良い印象がない私は、ほぼ行方不明状態になっていました。
そして、2018年5月のこと、私(三男の末っ子)に兄(次男)から自宅に突然の連絡がありました。
自宅の電話が鳴ることはほとんどなく、ほぼファックス専用になっていたので、なんだか嫌な予感もあり、素直に電話に出てみると…
その電話は兄からでした。
久しぶり過ぎるものあったし、知らせる内容も深刻だったため、すごく話をしにくそうな感じでした。
話の内容は、おかん(産みの母)が末期癌で、今年中の余命とのこと。
※おかんは私にとって特別な呼び方で、実の母以外には、この呼び方はしていない。

お見舞い

後から考えると、こんなことは考える余地がない話だったのですが、私は見舞いに行くことをためらいました。
ひどい環境に置かれたことで、すごく自分自身が成長することができたと思っているし、今の自分がいるのは良くも悪くもそんな過去があったからだと理解しています。
でも、気持ち的には複雑で、お見舞いに行くことに正直ためらいました。
私には珍しく周囲の人のアドバイスを聞き、素直にお見舞いに行くことを決意しました。
そして、親友の善ちゃんにも言いました。

瀧:「あのな、俺な、おかんの見舞いに行こうと思ってるねん」

善:「お前な~、それは行かなあかんぞ! 俺のためにも会ってやってくれ!」

瀧:「いや、だから行くって言ってるよ。」

善:「えっ行くの?」

瀧:「話の初めから、行くと言ってるよ。」

善:「そっそうやな…お前のことやから絶対に行かんと言うと思ってて、なんとか説得することしか考えてなかったから」
電話でしたが、そんなやりとりもあり、善ちゃんも一緒に行ってくれることになりました。
本当に行ってよかった。
とても小さくなった母を見た時、これまで自分の中でモヤモヤしていた感情がすべて消えて無くなりました。
死を間近に迎えた母の姿を見て、自分の想いが”とてもちっぽけ”だったことに気が付きました。

治らない病

治る病なら、戦え(治療すれ)ばいいのですが、母は肺癌のステージ4。
しかも高齢(75歳)。
肺癌から始まって、リンパ節から血液の流れによって癌が全身に遠隔転移している状況でした。
これを手術で取り除くとすれば、身体の大部分を切除するため、手術することは不可能。
癌の治療には放射線治療もあるのですが、範囲が広すぎる場合、普通に被ばくすることになるので、末期癌では放射線治療をすることもできないといいます。
ただし、身体に痛みなどを伴っていて、ある部分の癌だけを叩けば、その痛みが改善する場合もあるらしく、その場合に限って放射線治療は有効となる場合があるようです。
残る治療は抗がん剤となるのですが、いずれにしても、ステージ4になると完治させる望みはほぼゼロに等しいとのこと。

抗がん剤

抗がん剤を投与したところで、完治する見込みはありません。
むしろマイナスに働くことが多くあります。
では、なぜ抗がん剤を投与する選択があるのか?
私は主治医に質問しました。
主治医の説明では、抗がん剤を投与することで、日常生活の質が上がる可能性があるとのこと。
そして、副作用の方が大きく出た場合、逆に日常生活の質が低下することもあったり、抗がん剤がきっかけで、最後の一撃になったりすることもあるとのこと。
つまり、結果がどうなるのかは、主治医にもわからず、やってみないと何もわからないとのこと。
また、女性の平均寿命は87歳(男性は81歳)となっているので、女性が76歳を超えている患者には、この病院では抗がん剤の投与を勧めないとなっているようでした。
母の年齢は75歳。
良くも悪くも、抗がん剤をするかどうかの選択ができる年齢となっいる。
最終的には本人が決断するのですが、最善の決断ができるようにサポートするのは私たちの役目。

延命処置

癌のこのステージになると、いつなにが起きても不思議ではないため、容態が急変した時、何の意思表示もなければ医師たちは、延命処置をすることになります。
これは、「処置」であって、「治療」ではないことを理解しておかなければいけない。
治療ではないので、その場しのぎで本人や家族の意思とは無関係に延命処置をするのが医者のしごと。
心臓マッサージにしてもそうですが、心臓は肋骨で守られているので、心臓をマッサージするということは、肋骨をバキバキに折ることを意味しています。
この延命処置、主治医の説明では数時間の延命、意識が回復することが少ないため人工呼吸器につなぐことに。
また、医者の立場からしても、これはあまりお勧めできないとのこと・・・何も言わなければ、延命処置は行われなければならないので、断るなら事前に意思表示をしないといけない。
同席した家族は全員拒否ました。
でも本人は「延命してください」と言った。

本人が正しい判断を出来ていない

肺癌は脳に遠隔転移をしやすいらしく、もはや正常な判断が出来ているとはとても思えない。
ボケ老人のような状態になることも、よくある事だと主治医は言います。
身近にいる人間は、正しい答えがない中で、寄り添って励まし、最善を尽くすとはなにかを考え、本人を説得しないといけないので結構大変。
私たちはまだこれから、抗がん剤を使うのかどうかなど、さまざまな選択をしていかなければいけません。
関連記事:家族が末期癌になったときの話 2


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