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司会などとは無縁の人間が、人生初の司会を行うとどうなるのか? 後編

司会などとは無縁の人間が、人生初の司会を行うとどうなるのか? 後編

このエピソードは、後編です。前編から読まれる方はこちらからどうぞ→前編

ゾンビ化善ちゃん

披露宴会場でゾンビ化した善ちゃんは、いつになったら正気に戻るのか。
善ちゃんがゾンビ化していても披露宴の進行はとまりません。
代理とはおもえないホテル従業員の司会に賞賛です。

メインディッシュの時間

そんな調子で時間はゆっくりと流れ、いよいよメインディッシュが運ばれてきました。
皆はメインディッシュを食べ始めたころゾンビ化した善ちゃんが、なにやら変な光景を目撃したようです。
(善ちゃんは、司会者だったので先にご飯を食べていましたから暇だったんでしょう。)
今から思えば、なぜ私にそれを教えたのか?
それさえなければ私はおいしいご馳走を堪能できたものを。
暇になりゾンビ化した善ちゃんは、こっそりと女性陣に見とれていました。
すると、女性陣の怪訝な顔が気になりました。
女性の怪訝な表情にドキッとした善ちゃんは、この瞬間に正気を取り戻しました。
その女性陣の視線の先には、西くんがいました。
善ちゃんは、西くんのことを怪訝な顔で見る女性陣達がすごく気になりました。

善:「 気のせいかなぁ?」

そう思って善ちゃんが西くんの方を見てみると、本当の意味で見てはいけない光景を善ちゃんは見てしまいました。
西くんは、誰にも気づかれないように股間を必死で触っていました。
それも、女性陣を見ながら!

西くんの名誉のためフォローしておきますが、ほんとうは女性陣など見ていませんでした。
ただ視線の先に、たまたま女性陣がいただけで特にそれを見ているわけではなかったのです。
何をしていたかというと、披露宴のはじめに座ったままスボンのチャックを上げようとしたところ、テーブルクロスにチャックが挟まって上にも下にも動かない状況になったようです。
それから西くんは、誰にも悟られないように必死に外そうとしていたのです。

善ちゃんは、ディナーを食べている私に、言いました。

善:「瀧!」

瀧 :「ん?」

善:「西くんを見てみ」

瀧 :「遠慮する」

善:「ちゃうねん、すごいことになっているから」

私が西くんを見たら、それはまさに、あかんやつを見た気がしました。
でも、すぐに気が付きました。
そう、チャックを上げようとしているのですが、なにかに挟まって戻すことも出来ない様子がすぐにわかりました。
良く見てみると顔は高揚して赤くなり、右手にフォークを持って左手で股間をものすごい勢いでいじっています。
しかも視線の先は、司会者ではなく女性陣だけが座っているテーブルです。

そんな状況なので、西くんはろくに料理も食べていません。
確かにこれは、なにか誤解される可能性がある動きでした。
必死にチャックと格闘している西くん。
それを見て怒る善ちゃん。

なんで怒る必要があるのか理解できなく笑いをこらえる私。
もはや私はディナーの味なんてわかりませんでした。
結局、何を食べたのかも今では思い出せません。

西くんは、きっと心の中で「チャックに挟まるようなテーブルクロス掛けるなよなー!」って思っていたに違いありません。
どうりで席から動かなかった理由が納得できました。

ディナーの終わりが意味するもの

ディナー料理が終われば皿はすべて下げられテーブルクロスも張り替えられます。
ディナーの終わりは、西くんの平凡な人生の終わりを意味しています。
元ホテルマンだった私は、この一連の流れを予測していたのでエセ司会者の善ちゃんにそのことを教えてあげた。
正義感に満ち溢れる善ちゃんは、西くんを救うためにディナー時間を延ばす作戦に出ました。
まったく予定していなかった新郎の上司を勝手に指名してディナーの途中にスピーチさせようとしました。
突然指名された上司は口に入った食事に喉を詰まらせて、すごくせき込んでいました。
また、その上司も断ればいいものを、そのままスピーチを行いました。
さすが、いつも人前で話慣れていることはあります。
善ちゃんはというと、勝手に人にスピーチさせておいていつのまにか手に料理バサミを持っていました。
すかさず、料理バサミを西くんの元へ届ける善ちゃん。
私は、それを見ていて「なるほど!」って思いました。
その時、善ちゃんが想像していたことは引っかかっているテーブルクロスを切ることでした。
私も同じことを想像していました。

でも西くんのとった行動は私たちの想像を裏切るものでした。
西くんは、気が弱い性格だったからか、ホテルのクロスをカットするのではなくあろうことか自分のズボンの股間部分をごっそりとハサミでカットしていました。
確かに、他人の所有物を傷つけるよりかは良い気がしますが…その後のことを考えていたのだろうか?
食事がおわり全員が席を立つ頃、西くんはまだ座ったままです。
私は西くんに「そろそろ行こうか?」と声を掛けました。
西くんは、引き出物の紙袋を正面に持ってなにやら不自然に歩いています。
私はズボンが破れていることを知っていたのでダメもとでホテル従業員になにか出来ないか相談しました。
ホテル従業員の粋な計らいで私物のジャージズボンを貸してもらえることになりました。
それは、まるで小学校でありがちな、お漏らしをした子の服装です。

披露宴の2次会

2次会もあったのですが、西くんだけスーツのズボンがジャージ。
さらにひどいことに、西くんのジャージズボンを皆が気になっていたはずなのに誰も口に出さなかったこと。
そして、本人もなにも言い訳しない堂々とした状況、善ちゃんが西くんから離れようとするけど気が付けばいつも善ちゃんのとなりに西くんがいること。
私の中で、楽しくて仕方がなかった2次会でした。


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