方法、手法

トルクレンチを使っても、狙ったトルクで締め付けられていない理由

トルクレンチを使っても、狙ったトルクで締め付けられていない理由

トルクレンチは、設定した締め付け力のポイントで、「カッチン」と音が鳴ると同時に、締め付けを止める遊びが発生します。

この音を目安に、遊びの部分で締めるのを止めれば、設定した締め付けになったと思う事でしょう。

トルクレンチは正確でも、使い方を間違えるとその精度を引き出すことはできません。

当社が請負業務を行っているエアコン工事のお客様からも、トルクレンチの使用を推奨していますが、肝心の使い方については不問となっています。

トルクレンチさえ使っていれば、狙った締め付け力で締めることが出来ると思っている人も多く、実際の現場では多くの不具合が発生しているのが残念でしかたがありません。

Wikipedia:トルクレンチ

 

ダブルチェック使用禁止

オートバックスやイエローハットのピット作業を覗いてみると、タイヤを締め付けるときには必ずトルクレンチを使用しています。

そこでよく見る光景で、最後にトルクレンチを使っていますが、「カチカチッ!・カチカチッ!・カチカチ・カチカチ」と最後に締め付けているのを見かけます。

本来であれば、「カッチン!」で止めなけばいけないのに、「カチカチッ!」って2回「カッチン!」を鳴らしています。

これは、慎重な作業でもなんでもなく、絶対にやってはいけないトルクレンチの使い方です。

クルマ整備の本にすら、「もう一度念のためにチェックしときましょう」なんて書いてあるから驚きです。

トルクレンチというのは、1度目の「カッチン!」で本来の設定のトルクになるように校正されています。

そして、2度目の「カッチン!」では、設定値よりも大きな値にズレていきます。

それでも、その値が一定ならまだマシなのですが、あまりにもズレ幅が大きいのが問題なんです。

※マシというのは、一定に締め付けできるという意味。

こんなに大きなズレ幅で締め付け作業をするなら、もはやトルクレンチを使っている意味がありません。

 

緩め方向での使用禁止

トルクレンチは、ラチェット構造をしているため、緩め側でも使用できてしまいます。

直感的に、緩め方向で使ってはいけないというのは判かっている人も多いのですが、緩め方向で使用することで、どのくらいトルクレンチにダメージを与えるか把握していないと、「少しぐらい…」ってなるかもしれません。

トルクレンチの精度はおよそ±4%程度ですが、緩め方向に使ってしまうと、±10%まで落ちてしまいます。

まだこれはマシなほうで、一発で壊れ、すぐに使い物にならなくなる亊もあります。

※このマシは全然良くありませんので…

トルクレンチは精密機械であって、絶対に工具と同類に扱うことをしてはいけません。

 

精密に締め付ける方法

例えば、クルマのホイルナットを110Nmの締付トルクで限りなく正確に締め付けするとします。

本当はエンジンなど精密に組み立てる必要がある物で例えるべきなのですが、今回は説明がしやすいホイルにしています。

ホイルは110Nm程度で締め付けるのですが、精密に110Nmで締め付ける手順を書いてみます。

この画像にあるホイルのボルトは4つです。

そして、画像に書いているように、締め付ける順番は、数字の順に対角に順番に締め付けていきます。

最初にグリスをボルト側に塗布します。

そして、ナットを手で付けていき、回らなくなるまで締め込みます。

※この時に、通常入るポイントまで、手でスムーズに入らないときは、ねじ山に不具合があるので、もやは精密に締め付けることは出来ません。

次に、目標トルクの半分の55Nm程度で上記の締付順通りに全部締付ます。

同じ手順で、85Nm、100Nmと締め付け、最後に最終設定値の110Nmで締め付けると、精密に110Nmで締め付けることができます。

実際、クルマのホイルでしたら、手締めして、85Nm、110Nmで締め付けても大丈夫ですが、実際のエンジンのシリンダー周りの締め付けなら、4~5段階ぐらいで締め付けないと不具合が発生します。

このように、トルクレンチを使えば誰でも設定値で締め付けが出来るわけではないことを知っておいてください。

 

 トルクレンチの選び方

よく見かけるのが、幅広く使えるレンジのものを選択しようとします。

そりゃーレンジの幅が広ければ、揃えるトルクレンチが少なくて済むから、気持ちはわかります。

トルクレンチで気をつけなければいけないのは、上限値と下限値ともに精度が保障されていません。

例えば、RSコンポーネンツでは多数の品揃えがあり、その中には「Facom トルクレンチ 1/2インチ, 10 → 200nm」といった幅広いレンジのトルクレンチも存在します。

この下限値の10Nm付近と、上限値の200Nm付近の使用はメーカーでも推奨しておりません。

レンジの幅が広くなれば、価格も高くなりますし、使い勝手にも問題があるかもしれません。

ですから、ご自身がメインに使うレンジ帯がどこかによって、選ぶ必要があるわけです。

私が考えるには、トルクレンチが必要なポイントは、すごくピンポイントなのではないでしょうか?

おすすめの購入方法としては、そのピンポイントに合わせて購入することです。

「他でも使うかもしれない・・・」と思っているあなた!

断言しますが、高確率でそんな場面はありませんし、仮にあったとしても、そのレンジにあったトルクレンチを購入するほうが長い目で見て得をすることになります。

 

 

 

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