トヨタでも採用されなくなったシステム
トヨタのYARIS(ヤリスと呼びヴィッツの後継車には「アイドリングストップシステム」の設定がなくなりました。
他には、RAV4とカローラにも「アイドリングストップシステム」の設定がなくなりました。
その理由として、トヨタの広報から公式に正式発表がありました。
新世代エンジンの「TNGAエンジン」を採用しているため「スマート&ストップ(アイドリングストップ)」の設定がなくても競合性があるとのこと。
これ、少し考えたらわかると思いますが、アイドリングストップが有効なら、さらに燃費が良くなるのになんで?って思いますよね?
減税のための「アイドリングストップ」
アイドリングストップシステムの設定が始まったのは、およそ2009年頃(リーマンショックの頃)でした。
その時、日本経済がどん底まで落ちましたよね。
政府は、この不景気に対応するため、「景気刺激策」として「エコカー減税」を導入しました。
【景気刺激対策】
2009年はリーマンショックによる不景気が始まった頃で、政府は景気刺激対策としてエコカー減税を開始。
【エコカー減税】
カタログ燃費が車重に対する基準を超えれば適合するもので、重量税と取得税(当時)が減税になるというもの。
つまり、カタログの数値で燃費の良いクルマはエコカー減税の対象になるようになりました。
消費者は、エコカー減税が適応される車を魅力的と感じて、挙って購入しました。
自動車メーカーは、エコカー減税に対応させれば売れるとなったから、カタログ上で燃費の良い車を作るようになりました。
その結果、車が売れるようになってメーカー(法人)が儲かるようになりました。
法人が儲かれば、国は法人税を沢山納めてもらえることになり、景気の刺激にもなりました。
この政策は成功と呼べるものでした。
アイドリングストップのデメリット
アイドリングストップの設定がある車が多くなり、売れているので誰もデメリットを言いませんでした。
アイドリングストップを実現させるためには「充電制御バッテリー」が必要になります。
従来のバッテリーと比べて寿命が3分の2
価格も1.5倍
このアイドリングストップシステムを設定するために、新たに「充電制御バッテリー」を生産しないといけなくなりました。
「充電制御バッテリー」を作るときにも二酸化炭素は生成され、消費して廃棄されるようになりました。
従来のバッテリーに加えてです。
しかもユーザー負担
本当にアイドリングストップが環境に良いかは疑問があります。
アイドリングストップの効果
一般的には、エンジンのかけ初めは燃料を多く消費します。
バッテリーの問題を含めるとアイドリングストップは懐疑的…
さて、どのくらい燃費が良くなるのか?
WLTCモード
WLTCモード(実燃費と乖離が少ないといわれる)で見ると…
車種によっても違いますが、総合的にみると5~10%
これは、あくまでもカタログ燃費です。
カタログ燃費が実燃費と全然違うことはみなさん知っているとは思うのですがエアコン稼働を考えると5%未満になります。
つまり、気候変動の要素を加えるとカタログ数値よりは悪化します。
【気候変動】
春や秋は影響なくても、夏と冬はアイドリングストップの回数が極端に少なくなります。
夏は冷房のためにエアコンが稼働する。
冬はエンジンを温めるためにエンジンは止まらず、車内が曇るとエアコンが必要。
さいごに
トヨタは、総合的に見てユーザー負担と環境負荷を考えた結果、スマート&ストップ(アイドリングストップ)の設定を無くす方向に舵をきりました。
リーマンショックの影響もなくなり、お国も税金は潤ったので、アイドリングストップを続ける意味がなくなりました。
アイドリングストップは、右左折時にタイミングが合わずヒヤリとすることがあります。
この影響で事故が増えたかどうかは調べていませんが、ハインリッヒの法則から、アイドリングストップによる事故は増加したと思います。