方法、手法

加工硬化とは

加工硬化とは

しず:「機械設計者として善ちゃんにエアコンにの銅管について参考になる話を教えましょう。」

善:「そんなんええわい、職人に小難しい理屈はいらんねん! 長年の実績と感でなんとかなるもんや!」

しず:「まぁそんなこと言わんと、お客さんのためにもなることやから一回だけ聞いてみて。」

善:「お客さんのためやった聞くけどな、小学校の子でもわかるように説明してへんか。」

しず:「配管を交換しないお客さんにも上手に説明できると思うから、わかりやすく説明するよ。さっそく善ちゃんに質問やけど、エアコンの配管ってなんで再利用しないほうがいいの?」

善:「そらぁおめぇ、銅パイプにも不純物が入ってるから、そらぁ酸化したりして、そらぁ硬くなるって・・・昔の親方から聞いたような聞かんかったような・・・とにかく、再利用する配管はめっちゃ硬くなってて、それを無理に曲げ直したりするのはすごく怖いんよ。細かい理屈は知らんけど、硬くなった銅パイプはフレアを作ってもきれいにできないから。それに、実際にガス漏れを起こすこともよくあるし、いくらお客さんんが指示してても、実際に漏れたらお客さんは文句いいよるからなぁ」

しず:「既設のパイプを再利用するのも、パイプを新設するのもお客さんが決めるからね。お客さんが最終判断するから、善ちゃんは判断できる材料をお客さんに提供するべきだと思うよ。」

善:「お客さんのためにもなるしなぁ、興味出てきたから続けて」

しず:「実はエアコン用の銅パイプの純度は99.9%ぐらい。一般的に、無酸素銅が99.95%なので、かなり純度は高い状態と言える。だから、既設のエアコン配管がが硬くなる原因は不純物ではないことはわかった?」

善:「じゃぁ、あの銅配管はなんであんなに硬くなってしまうの??」

しず:「結論から言うと、”加工硬化”とみて間違いない」

善:「その”カコウコウカ”って、初めて聞くけど、なに?」

しず:「どんな金属にも”加工硬化”ってのがおきるよ。加工硬化を分かりやすく言うと、針金を曲げると曲げた部分は硬くなるのはしってる?」

善:「そぉなんかぁ?」

しず:「曲げを戻して曲げてを繰り返すと折れるやろ?あれは硬くなって粘りがなくなるから」

善:「それ知ってるよ、それを上手に利用してるのが鍛冶屋やろ?」

しず:「大正解!流石よくわかってらっしゃる。」

善:「うまいこと説明できないだけで、なんとなくはわかってるから。」

しず:「エアコンの配管(銅パイプ)も、暖房運転 / 冷房運転の運転停止で、膨張と収縮を繰り返しているうちに、”加工硬化”が発生してる。」

善 「だからなん、それで既設のエアコン配管はあんなに硬いのか。」

 

エアコン配管の再利用をしてはダメなケース

 

曲げ戻しをする場合

ほとんどの移設工事では、曲げ直しがあったり、移設で運ぶときにもそのまま運べないから折り曲げします。

 

保護材が劣化している場合

これは、ランニングコストに影響が出るので、加工硬化以前にアウトです。

 

つまり、ほとんどのケースで再利用はしないほうがいいことになります。

 

最後に銅材料の作り方

どうやって純度の高い銅管がつくられているの?

原料は畳半分ほどの大きさの電気銅。

これを溶解します。

次に”シャフト炉”と呼ばれる溶解炉でドロドロに溶かします。

この段階で微量の”りん”を添加して”りん脱酸銅”を作ります。

つまり、非常に酸化しやすい性質を持っている”りん”を使って、銅の中に溶け込んでいる酸素を取り除くの。

なぜか?

銅に限らず、金属というのは水素が金属の中に拡散しやすいからで、そこに酸素を含んだ金属に何らかの形で水素が入ってきた場合、その水素と酸素が結合して水を作ってしまうことになります。

そうなると銅はとても、もろくなってしまうから。

だから、後工程で水素が入っても大丈夫なように、あらかじめ脱酸をしておくというわけ。

こうしてできあがった塊が”インゴット”と呼ばれる。

これを作業しやすいように短くカットしたら、”ビレット”という呼び名に変わります。

これをまた加熱し、850度ぐらいまで加熱をしてから、ほしい形状に成型していきます。

加熱脱酸トコロテン>のような感じでパイプをつくっていきます。

加熱工程はここでおしまい。

 

銅は鉄と違い加工しやすい素材だから、後は延ばしたり、ひっぱったりして細くしていく。

次は圧延で銅管の長さ方向にロールを転がして延ばしていきます。

ブルブロックという“連続巻取抽伸機”にかけて、銅管を伸ばしながら、回転ドラムにどんどん巻付けていくことができる仕組みになっているんです。

当然、この工程では銅をぐにゅぐにゅしているので”加工硬化”が発生してます。

そこで大事な工程があって、加工硬化した銅管はを元のやわらかい状態に戻す工程がある。

これが、”光輝焼鈍”という仕上げ加工。

先ほどの仕上げ機を出た状態の銅管は“加工硬化”が発生した状態なので、これを元通りに柔らかくすることができる。

それをしないと、善ちゃんのような職人さんは曲げたり伸ばしたりしてうまく工事が行えない。

先程も善ちゃんに説明したように、素材の結晶の中にひずみがたまっていって、柔軟性がなくなり、ついにはポキッと折れる。

つまり金属が硬くなって、ガラス棒のように折れ易くなってしまう。

元の加工しやすい状態に戻すには、この結晶の中のひずみをとればいいわけ。

その方法は?

加熱すればいいだけ。

加熱することでひずみがなくなり、新しい結晶ができます。

どのくらいの温度で焼くのか?

銅の場合だと400~450度ぐらいの加熱が必要。

温度に関しては、銅は他の金属より比較的簡単に管理できるとはいえ、流石に個人宅の庭先では無理です。

鉄みたいに、熱いところを急速に冷やすと固くなるというような特性は銅にはない。

でも、加熱した状態で自然冷却すると、冷めるまでの間もどんどん再結晶化が進んでいくから、やはりここではちょうど良い固さに仕上げるために急速冷却をしていきます。

この工程が終わった後の銅管は、ピカピカのきれいな色になります。

だから”光輝焼鈍”と呼ぶの。

加熱押出⇒脱酸⇒圧延(加工硬化)⇒ 光輝焼鈍

 

 

 

 

 

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