板金設計の分野はシリーズ化して記事を投稿しています。
今回の記事は、板金設計における穴やねじなどの加工についての設計ノウハウを提供していきます。
板金特有の加工方法もありますので参考にしていただければ幸いです。
丸穴
締結ねじサイズ : 穴径
M2 : φ2.5
M2.5: φ3.0
M3 : φ3.5
M4 : φ4.5
M5 : φ5.5
M6 : φ6.5
M8 : φ8.5
M10 : φ11.0
これは、JIS B 1001 2~3級を参考に経験値を考慮して決めています。
長丸穴
複数曲げの時は、穴ピッチ寸法が外れることが多くなります。
ですので、基準となる穴は真円にしますが、それ以外の曲げ回数が多い方を長丸穴にするのがモノづくりを考慮した設計となります。
その他には、部品の取り付け位置を調整したい時にも用いる。
その場合は、全て長丸穴である必要があります。
また、長穴では真円よりも、ネジや座金の座面が40%減ってしまうので、強度面で考慮する必要があります。
例えば、真円のバカ穴に2個固定する必要がある強度が必要であれば、長穴に変更すれば3個にするなど考慮が必要となります。
その長穴サイズは、ネジによって変わりますので、A寸法は、丸穴サイズを参照ください。
A寸法は、丸穴と同じとなり、B寸法は、ネジサイズと調節距離に応じて決定してください。
ダルマ穴(切欠き)加工
ねじを緩めるだけで、取り外しを可能とするための加工です。
メンテナンス性に優れるため、頻繁にメンテナンスでアクセスする場所には、設計側の配慮としてダルマ穴や切欠きを付けてあげることを考えたあげるべきです。
ただし、ねじの座面は長穴と同様に40%減るため、強度面は考慮しないといけません。
ダルマ穴
切欠き
ねじ部
ある程度、板厚があれば、直タップが可能な場合もあるし、板厚が薄くても、バーリング加工すれば、タップが可能な場合もあります。
バーリングでもタップを使えない場合や、取り外し頻度が高ければ、セルスペーサーなどの部材をカシメるなど板金のねじ部はとても範囲が広くなります。
それでは、ひとつづつ記載していきます。
直タップかバーリングか
バーリング加工はコストも上がりますし、方向や場所によっては曲げ加工や組み立てなどの邪魔になりますので、出来る限り避けたいところです。
可能である限り、直タップを使います。
鉄材とは、SPCC,SGCC,SECC,SUS を差します。
例えば、M2.6のタップを加工する場合、板厚が1.5mmのアルミ板なら、直タップでも大丈夫ですし、バーリングでも良いとなっています。
品質に伴って、どちらかを選択すればいいと思います。
バーリング
バーリング加工を行うと、凸側が発生します。
そして、その凸は曲げ加工する時には、避けなければいけません。
最小距離を確認しておいて、それ以上の最小距離を確保したい場合は、加工業者と相談することをおすすめします。
ちなみに、バーリングの凸側は、バリを抑えるため、反カエリ側が望ましいといえます。
でも、この方向に関しては、選べない場合が多いですので、構造を優先して凸側を設定してください。
板金の曲げ可能範囲
L = ≦ 6t
B ≦ 2A
C ≧ 6以上
E ≧ 2F
F ≧ 2D
G ≧ 6以上
スリット穴
L = 3.5t + r
丸穴
L = 2.5t + r
セルファスナー可能範囲
メンテナンスなどで、繰り返しネジを外したりする場所や、バーリングだけでは強度不足になる場合には、NCナットなどの補強部材を使用します。
これらを使用する時は、曲げ加工がある場合、どの範囲まで加工が可能なのかは、部材供給メーカーの提出するデータが見当たりません。
私の経験に基づく実績のある数値をまとめましたので参考にしてください。